中村英司選手と小田悠人「レイアップに自分の価値を見いだしたい」 県立広島皆実(広島県)
県立広島皆実(広島県)は11月18日に「U18日清食品 中国ブロックリーグ2023」の最終戦を迎えました。県立松江東を前半だけで72-34と圧倒し、最終スコア106-81で勝利。「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」に続いて全勝優勝となりました。 チームの指揮を執る横田学アシスタントコーチは、県立広島皆実の伝統である『堅守速攻』を貫くと同時に、留学生不在のチームが全国で結果を残すための武器を磨く試みに取り組んでいます。今こだわっているのは、チームオフェンスで確率の良いシュートを選択すること。留学生は不在でも、188cmの中村英司選手、185cmの小田悠人選手とサイズと得点能力を備えた2人のパワーフォワードを擁していますが、彼らがディフェンスが待ち構えるゴール下に強引に飛び込んだり、ポストアップから窮屈なシュートを選択することはありません。
チームとして最も好ましいのはレイアップのシチュエーションを作ること。チームで連動して相手ディフェンスを崩し、最もシュートの確率の高いレイアップを作ろうとしています。そのレイアップで印象的なプレーを見せるのが中村選手です。サイズとスピードを兼ね備えた中村選手は、一瞬の加速力で相手を出し抜き、上手く身体を使ってレイアップを確実に沈めていきます。 「中学では160cm台でスピードもなかったのでレイアップに持っていけないことが多かったです」と語る中村選手は、県立広島皆実での3年間でレイアップの技術を磨いてきました。「留学生プレーヤーから逃げて勝負しないのはちょっと違うと思って、相手が誰であれレイアップに持っていって決められるように、そういう選手は全国でもあまりいないと思うので、レイアップに自分の価値を見いだしたいと思いました」
中村選手とともにチームを引っ張る小田選手は「練習でマッチアップすると、手の長さや身体を上手く使っている印象です。コンタクトしても身体を上手く使って力を逃がして、ちゃんと自分のシュートの形に持っていけます」と中村選手のレイアップを語ります。 これに対して中村選手はこう言います。「特に意識をしているわけじゃないんですけど、レイアップに行く時に肩から入って一瞬相手をかわすイメージです。ダンクで決めたい気持ちもありますが、そういう派手なプレーができる選手じゃないので(笑)」
レイアップは『庶民シュート』であり、派手なダンクとは対極のプレーかもしれません。それでも中村選手は「地味でも効率が良いですし、自信があるとまでは言えないですけど『行けるな』って感覚はあります」と、自分の武器に磨きをかけています。 それでも、県立広島皆実のすたいるは全員バスケで、得点力のある彼ら2人に頼ろうとしません。中村選手、小田選手がオフェンスの軸ではありますが、彼らより得点の可能性の高い選手がいれば、そこを見逃さずにボールを託す。得点源の中村選手が自分の形でレイアップに持っていけるシチュエーションをチームで作ります。
小田選手は「僕たちは留学生のいないチームなので、誰か1人が40分間ずっと点を取り続けるのは難しいです。それに今まででも、多くの選手に得点が分散した時の方が良い試合ができているし、勝ててもいます」と言います。試合が止まるたびに選手たちが集まり、わずかな時間でもコミュニケーションを取るのも印象的。その意識を小田選手は「3ポイントシュートを狙うのか、ブレイクから2点を狙うのか。分かっているようでも確認しておくことで、言葉で防げるミスは防ぐようにしています」と明かしてくれました。 去年から主力としてプレーする小田選手と中村選手は、「U18日清食品 中国ブロックリーグ」での2年連続の全勝優勝を通じて自分たちのバスケへの手応えを深めてきました。2人は「U18日清食品 中国ブロックリーグ2023」を振り返り、「自分たちのバスケをいろんな人に見てもらって、力を認めてもらえるのはうれしいです」と笑顔を見せました。
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