菊田惟月「落ち着いてチームを引っ張る」 昌平(埼玉県)
9月10日、昌平(埼玉県)は「U18日清食品 関東ブロックリーグ2023」の2試合目となる作新学院(栃木県)との試合に69-64で勝利しました。前半はビハインドを負いましたが、後半に立て直しての見事な逆転勝利でした。 加藤祐介ヘッドコーチは試合をこう振り返ります。「これがハーフ(10分×2クォーター)の練習試合だったら、対応できないままバタバタと負けていたと思います。この時期にハイレベルなチームとフルゲームを戦えたのは、チームにとって素晴らしい経験になります」
対戦相手の作新学院は、様々なディフェンスパターンを駆使しながら試合を展開するチーム。これに対し、加藤ヘッドコーチは試合中に選手たちが自分たちで相手のスタイルを把握して自分たちのプレーを変える対応力を養おうと、あえて具体的な指示を出しませんでした。下級生も数多くコートに立つ中、ゲームキャプテンの菊田惟月選手の的確な声掛けで作新学院のディフェンスに対応して点差を縮め、第4クォーター中盤に逆転に成功。そのまま勝利を収めました。 菊田選手はハーフタイムに「前半できなかったところを修正しよう」と声をかけ、まずは全員を落ち着かせようと考えたそうです。「私も前半は少し慌てたので、後半は落ち着いてチームを引っ張るように、声を出しながら点を取り、守ろうと思っていました。自分がボールを持った時に相手のディフェンスの穴をしっかり攻めて、周りにも『ここが穴だよ』と伝えられたと思います」
次々に変わっていく相手のディフェンスに対応するには、まずはその変化に素早く気づくことが肝要です。菊田選手は主にこの役を担い、加藤ヘッドコーチから教わってきたオーソドックスな『攻略法』を、その時その時の状況に適した形にアレンジし、チームメートにポイントを伝えました。 「ゲームクロックが止まったタイミングで、一言で伝えられる簡潔な言葉で。すぐに理解できる子もいればそうではない子もいるので、人によって言い方は変えるようにしました」。そう話す菊田選手は、取材での受け答えも実にはきはきしたものでした。加藤ヘッドコーチも彼女には全幅の信頼を置いており、「頼り甲斐がありすぎて卒業後のチームが不安です」と苦笑します。
バスケIQは一朝一夕で身につくものではありませんが、チームの頭脳である菊田選手が的確な指示でやるべきことを伝えることで、昌平は「U18日清食品 関東ブロックリーグ2023」を通してどんな試合展開でも地に足を着けて戦えるチームになっています。
この記事をシェアする