池崎豪「きつい時こそ自分が先頭に立って声を出す」
旭川龍谷(北海道)
旭川市の市鳥『キレンジャク』をチームの愛称とする旭川龍谷は、旭川市を代表する強豪から北海道を代表するチームへと変化を遂げつつあります。部員のほとんどが地元の旭川上川エリアの出身で、小中学生時代に全国大会を経験した選手はほぼいません。しかし今年は2月の新人戦で創部初の3位に入ると、今夏は北海道2位としてインターハイへの初出場を果たしました。
チームを指揮して8年目、31歳の片山剛志コーチは「まだまだ文化や経験値を積み上げている最中です」と話します。その上で次のような狙いを持って「U18日清食品 北海道ブロックリーグ2024」を戦ったと説明しました。
「経験の浅い選手が多いチームにとっては、道の4強に加えて普段は公式戦で戦えないレバンガ北海道 U18さんと『負けたら終わり』ではない大会を戦えるのは非常にありがたいことです。インターハイ予選の決勝リーグでは限られた選手しか出せなかったので、今大会はより多くの選手たちに経験を積ませる大会とし、選手たちには大会前から『目先の勝利でなく内容にこだわって戦うよ』と伝えていました」
旭川龍谷の強みは、自分たちが動いて動いて動きまくって、相手を混乱させるハードワークです。しかし、これまであまり競った試合に出ていなかった選手たちを起用しながら、強豪相手にこの強みを体現するのは簡単ではなく、結果は5位に終わりました。池崎豪キャプテンは片山コーチの思惑を理解しつつも、「優勝を狙っていたのに1回も勝てなかったのはすごく悔しいです」と振り返りました。
池崎選手も、旭川市内の中学から旭川龍谷の門を叩いた一人です。代替わり後の初陣となった新人戦で「自分たちは全国に近い位置にいる」という自信が生まれたことで、チームの目標を「インターハイ出場」に再設定。上手くいかないたびにミーティングでチームの約束事を全員で再確認し、見事に目標を達成しました。
チームの精神的支柱である池崎選手は、「U18日清食品 北海道ブロックリーグ2024」でもリーダーシップを発揮しました。劣勢の状況でコート上の仲間たちを集めて話をしたり、「ここ、ディフェンスだよ!」を大きな声で全員を鼓舞する姿が目立ちました。大接戦の末に1ゴール差で敗れた東海大学付属札幌(北海道)との試合後は「リーダーシップを行動で示したかった」と、ダブルヘッダーの2試合目に向けて誰よりも早く気持ちを切り替えてシューティングを始めていました。
旭川龍谷は大会を通じて、すべての試合、すべての瞬間から何かをつかもうという意思が感じられるチームでした。最終試合の駒澤大学附属苫小牧(北海道)戦は大差がつきましたが、それでもタイムアップの瞬間まで引き締まったプレーを展開していました。「点差を離されても、見ている人をがっかりさせるような試合をするのは絶対やめよう。声を出し続けて自分たちのバスケットを最後までやり続けようと話していました」と、池崎選手は力を込めて話します。
この大会で得た手応えについて尋ねると、次のような答えが返ってきました。「自分たちから一生懸命に動き続ければ、絶対に良いバスケットはできると再確認できました。きつい時こそ声を出して鼓舞し合って。きつい時はメンタルも下向きになりますが、そういう時にこそ自分が先頭に立って声を出したら良いプレーがだんだん出てきて、自分たちの流れが生まれました」
池崎選手の今大会における自己評価は「チームでなく自分のことを考えていることが多かったし、まだまだ未熟です」と厳しいものでした。ただ、勝ち星を挙げられない苦しい状況で得た悔しさや試行錯誤のプロセスは、池崎選手、そして旭川龍谷の今後の成長に繋がる「勝ち星以上の財産」となったはずです。
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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