後藤萠花「走ることで高さの不利を打ち消したい」
福島東稜(福島県)
オサイ フェイバー チノエ選手の187cmの長身と、連携の取れたチームプレーを持ち味とする福島東稜は、昨年度の「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」の優勝チームです。今年も開幕4連勝で連覇の期待が高まりました。しかし、最終戦の盛岡白百合学園(岩手県)に54-62で敗れたことで盛岡白百合学園、聖和学園(宮城県)と勝敗で並び、3位で大会を終えています。
「盛岡白百合学園のバスケは当たり前のことを本気で徹底するバスケ。ウチがやりたかったことを全部やられてしまいました」。星希望ヘッドコーチはそう話しつつも、「すごく良い経験になりました」と大会を総括しました。
今年の福島東稜には、昨年度まで主力を担った選手がほぼいません。星ヘッドコーチは「特別な実力を持つ選手もいないし、『どんなチームになるだろう』と思っていました」と新チームが始動した当初の心境を率直に明かしました。しかし、指揮官の心配をよそに、前向きさ、真面目さ、理解力、遂行力を備えた選手たちはたくましく成長しています。
今大会、福島東稜は2月の東北高校新人選手権、6月の東北ブロック大会で勝てなかった県立湯沢翔北(秋田県)と県立山形中央(山形県)を破り、東北ブロック大会で優勝した聖和学園にも1点差で勝利し、昨年と同じ4勝1敗という成績を収めました。「盛岡白百合学園との試合後に悔しくて泣いている選手もいましたし、本当に良い経験になりました」
そんな今年のチームの強みを象徴する選手の1人が、今大会を縁の下で支えた3年生のシックスマン、後藤萠花選手です。身長は167cmと決して大柄ではありませんが、フェイバー選手の控えのインサイドプレーヤーとして奮闘し、フェイバー選手と同時にコートに出れば絶妙な合わせのプレーを演出。味方がリバウンドを奪うと真っ先に自陣に走るなど、献身的なプレーが光りました。
勝ち星を伸ばせた理由について「インターハイで勝てた試合を落としてしまった悔しさがあるからだと思います」と語った後藤選手は、中学時代は部員が4人しかいないチームに所属し、他校との合同チームで大会に出場していたそうです。小学生時代からの先輩を追いかける形で福島東稜に入学した当初は「最初は練習についていくだけで必死でした」と振り返りましたが、リバウンド、ディフェンス、ボックスアウトといった目立たないながらもチームに欠かせないプレーを疎かにしない姿勢で、少しずつプレータイムを得ていきました。
自分に定めている役割を尋ねると「繋ぐこと」との言葉が返ってきました。「交代で入った選手が流れを悪い方に変えてはいけないので、良い方向に持っていけるように。4番、5番のプレーヤーとしては大きくないので、走ることで高さの不利を打ち消したいと思っています。自分はチノエほど長い時間プレーするわけではないので、人一倍走らないと。声かけもしっかりして、チームを勝利に導きたいです」
星ヘッドコーチは後藤選手の良いところの一つとして、下級生であるフェイバー選手へのサポートを挙げました。その点について後藤選手にも話を聞いてみると、次のように話してくれました。「コミュニケーションが一番大切なので、コートでもコートの外でも『体調どう?』とか、『落ち着いて、大丈夫だよ』とか、何気ないことをたくさん話すようにしています」
高校でバスケットボールに一区切りをつけ、卒業後は新しいチャレンジへ進む予定という後藤選手ですが、「この大会を通じて、チノエとの2センターなど新しいプレーもできるようになってきた」と成長を実感しています。残り少ない現役生活においても、「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」で得た財産を生かしてチームを支えていくつもりです。
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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