斎藤友里「すぐにでもまたプレーしたい気分です」
精華女子(福岡県)
去年は「U18日清食品トップリーグ2023」に出場していた精華女子は、今年は「U18日清食品 九州ブロックリーグ2023」に出場することになりましたが、その実力は群を抜いていました。9月28日、リーグ初戦の県立石川(沖縄県)には2点差で勝ったものの、その後は常に大量リードを奪い、7試合のうち5試合で100得点を挙げる爆発力を見せて全勝優勝を飾り、チームの充実ぶりを示しました。
12月1日の最終戦ではもう一つ、チームに大きな弾みを付ける出来事がありました。3年生のガード、斎藤友里選手の活躍です。斎藤選手は10月の練習中に左膝を痛めました。高校バスケの総決算となるウインターカップの予選を前にしたアクシデントです。診断の結果は骨挫傷で全治1カ月。この時点でウインターカップでのメンバー入りの可能性は潰えました。
斎藤選手はこう話します。「それまで調子が上がっていたので、最後のウインターカップのメンバーに入るチャンスをつかめるんじゃないかと思っていた時のケガで、正直もうバスケをやめようかと考えました。次のことは考えられず、『もうやりたくない』というマイナスな気持ちまで落ち込んでしまったのですが、先生がここを目指せと言ってくれて、最後に自分のプレーが出せるように頑張ろうと気持ちを切り替えました」
大上晴司ヘッドコーチは、この「U18日清食品 九州ブロックリーグ2023」最終戦となる12月1日に向けて医師やトレーナーとも相談して斎藤選手の復帰メニューを組みました。ただ治すよりも、早期復帰を目指したリハビリは厳しいものになりますが、これが斎藤選手に前向きな気持ちを取り戻させました。
「1カ月後に骨の状態がどうなっているか次第でしたが、病院の先生から許可をいただけました。リハビリは単純なスクワットとか膝周りの筋肉のトレーニングから始めて、最後もジャンプは痛みがあったのでアジリティ系で追い込んで、1週間前から対人ありの練習にも参加できるようになりました。そうやって『昨日よりも今日は動けた』という感覚を日々積み上げて、試合でプレーできるようになりました」
こうして熊本商業(熊本県)との試合で斎藤選手はコートに帰って来ました。「めっちゃ緊張しながら入って、最初はリング下のシュートを打ったのですが、緊張しすぎてエアボールになって『やばい』と思ったんですけど、12月1日に絶対決めると練習してきたコーナースリーが入って、そこで緊張が解けて自分のペースでプレーできました」
斎藤選手が待つコーナーにパスが出た時点で、ベンチも2階の応援席でも精華女子の部員たちから歓声が上がり、シュートが決まった瞬間には喜びが爆発。最初の1本目はまだ緊張があり、ラインを踏んでいたため2点シュートになりましたが、彼女は気にしませんでした。「最高でした。めっちゃ楽しかったです」
ここからは斎藤選手の独壇場でした。熊本商業は留学生のアキンデーレ タイウォ・イダヤット選手のゴール下を止めるにはダブルチームを送るしかなく、それで斎藤選手の走るコーナーが空きます。それを狙ってパスを送ったエースの清藤優衣選手は、「苦しい時期を過ごしたと思うんですけど、この試合ですごく強い気持ちで戦ってくれて、同じ3年生としてすごくうれしかったです」と斎藤選手の復活を喜びました。
リズムをつかんだ斎藤選手はチャンスを次々にモノにして、3ポイントシュート4本を決めます。そのたびにチームと応援席は大盛り上がりで、それが彼女をさらに乗せていきました。「コーナースリーを1本決めようと思っていただけで、自分でもこんなに決まるとは思っていませんでした」と斎藤選手は笑います。
試合中はアドレナリンが出てケガの影響を感じさせないプレーができましたが、サポーターの下の膝はテーピングでガチガチに固められており、朝晩はまだ痛みが出ます。それでも精華女子の一員として自分のプレーができたことで大きな満足感が得られました。これからはチームのサポートに回るという斎藤選手ですが、バスケをやめたいという気持ちは完全に消え去っています。斎藤選手はこう言います。「早く完全に治って、すぐにでもまたプレーしたい気分です」
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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