松下みのり選手は身長155cmで、サイズのない明豊(大分県)でも小柄な選手ですが、コート上では際立った存在感を見せます。40分間エンジン全開、前線からのプレッシングでディフェンスを牽引し、チームに勢いを与えるのが彼女の仕事です。
「U18日清食品ブロックリーグ2025」開幕戦で当たったのは、全国屈指の実績を誇る大阪薫英女学院(大阪府)でした。最終スコア55-100で敗れはしましたが、第1クォーターは14-22と食らい付き、立ち上がりに限れば互角の勝負を演じています。
松下選手は相手が格上であっても全く臆することなく、いつもと同じ積極性で足を動かし、相手の懐に飛び込むような強烈なプレッシャーを仕掛けます。最前線で奮戦する松下選手に引っ張られるように、チームメートも全力プレーで強豪に挑みました。「薫英相手に自分たちが逃げ回るようでは絶対に勝てないので、ルーズボールに飛び込んだりスティールを狙っていく泥臭いプレーでは上回って、食らい付いていこうとチームで話していました」と松下選手は言います。
大阪薫英女学院はアジャストが早く、明豊のプレッシャーディフェンスに手を焼いたのは最初の数分間だけ。前線でのディフェンスを上手くパスでかわして、エースの三輪美良々選手を始めインサイド陣にボールを集めて得点を重ねていきます。このしたたかな戦いぶりに明豊は屈することになりました。
「負けたことは悔しいですが、薫英相手に自分たちのやろうとしたプレーができた部分もありました。まだ最初の試合が終わっただけなので、残りの試合で勝ちにいきます」と、松下選手は言います。
松下選手を始め今の3年生たちは、2年生だった昨年の「U18日清食品 九州ブロックリーグ2024」でブレイクを果たしました。松下選手はこのリーグ戦で抜擢されるにあたり「自分はディフェンスで生きていく」と決め、誰よりも多く走り、強烈なプレッシングをかけることでチーム内での居場所を築きました。
「去年のリーグ戦から試合で使ってもらえるようになって、そこで自信がつきました。今年も同じように、このリーグ戦が終わった時に自分の成長を実感したいです」
インターハイ予選の決勝では、終盤にクラッチスティールを決めて劇的な逆転勝利の立役者になったという松下選手は、ディフェンスには揺るぎない自信を持てるようになりました。今の秋はさらに、オフェンスでもチームに貢献することが目標です。
「スティールから走ってのレイアップを落としてしまったり、フリースローだったり、確実に決めるべきところを決められていません。今日の薫英を見ていて、そういう場面では絶対ミスをしなくて、それが強いチームなのだと感じました。レイアップ1本を決めきる、その小さなところで差が生まれます。私だけではなく明豊のチーム全体で、そういうところを極めていきたいです」
そして、1年前の自分のような、自信をつかみ取りたいとコートに立つ下級生へのサポートも忘れません。「私も先輩方から『大丈夫』とか『今のOK』とか、そういった簡単な声掛けですごく緊張が解けました。今年は自分たちが最上級生として、後輩にその声を掛けてあげる番だと思っています」
この記事をシェアする