「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループH」を戦う米子松蔭(鳥取県)は、9月28日に県立佐賀北(佐賀県)と対戦しました。この試合は、米子松蔭にとってリベンジの機会でした。4月の招待試合で、生田浩一コーチが「実力差を感じた」と振り返る完敗を喫していたからです。
米子松陰はインターハイ予選の決勝で鳥取城北(鳥取県)と戦った経験を生かして、この夏で大きく成長しました。「最終的には35点差で敗れましたが、前半は3点差まで戦えたという事実は、選手たちの自信になりました」と生田コーチが語るように、結果としてインターハイで全国制覇を果たす鳥取城北と渡り合った経験が、チームの成長を後押ししました。
生田コーチは「能力は決して高くありません」と謙遜しつつも、一戦一戦を粘り強く戦い抜くチームの姿勢をこう評価しています。「ハーフコートオフェンスで確実に得点し、ディフェンスでは粘り強く守り抜くチームを目指しています。他のチームより得点は多くないかもしれませんが、全員で頑張れるのが我々の特徴です」
キャプテンを務める中井脩太選手も、リーグ戦での佐賀北との対戦を心待ちにしていましたが、結果は60-104と再びの大敗。中井選手は悔しさを噛み締めつつも、力強くこう話しました。「相手が強いことを分かった上で戦っていました。今回は粘り強いディフェンスから、コート上の状況に応じて自分たちで判断して得点を重ねるという自分たちのバスケを意識して戦うことができたと思います」
その言葉を証明するように、この試合は中井選手の3ポイントシュートから始まりました。チームに良い流れをもたらしたこのシュートは、偶然生まれたものではありません。冷静な判断と、チームが大切にしている戦術の遂行があったからこそのプレーでした。
「スクリーンに対して相手のディフェンスが下がっていたことを確認して打ったシュートでした。打てる時には自信を持ってシュートを打つ、そんな米子松蔭のモットーを意識してしっかり打ちました」と中井選手は語ります。練習で培ってきた判断力をコート上で発揮できたことに、中井選手は確かな成長を感じていました。
大きな点差が開いた試合終盤にも、中井選手はルーズボールに果敢にダイブし、米子松蔭の粘り強さを体現します。「キャプテンとして、そうした姿勢を後輩たちに示していきたいです。練習の時も自分から声を出してチームを鼓舞することを意識しているので、プレーでもチームを牽引できるよう皆を引っ張っていきたいと思っています」
高校バスケができる時間はもう長くありません。「3年生はみんなと過ごす時間も残り少なくなってきているので、多くのことを後輩たちに伝えていきたいです。練習に対する姿勢や雰囲気は試合に表れます。まずは練習中から声を掛け合うことを心がけています」
試合には敗れましたが、キャプテンの表情に悲壮感はありませんでした。この敗戦さえも、次なる成長の糧とする。そんな強い決意が、最後の言葉に込められていました。「今日のような試合に負けてしまった時でも、下を向かずに前を向いてチームとして成長していきたいです」
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