「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループF」に出場している比治山女子(広島県)は、11月15日に三田松聖(兵庫県)に52-66で敗れたものの、翌16日の倉吉北(鳥取県)戦では80-65で勝利し、このリーグ戦での2勝目をつかみ取りました。比治山女子はこの連戦でコートに立つスターターの顔ぶれをガラリと変えて臨みました。その狙いを寺廻唯コーチはこう説明します。
「中国エリア以外の全国常連校との試合は主力メンバーで臨んで強化を図っていますが、同じ中国エリアのチームとの試合は下級生中心で戦いました。中国大会などで顔を合わせることが多く、レギュラー同士の戦いは力関係が分かっているためです。ウインターカップの後、新人戦までの期間が短いため、1、2年生の新チームも強化したいと考えています。そういったプランで戦うことができるのも、このリーグ戦の良さだと思います」
15日の三田松聖戦、16日の倉吉北戦、2試合トータルで多くのプレータイムを得たのが、寺廻コーチが「より責任感や自覚を持ってほしい」と期待する2年生の2人です。一人は新チームのキャプテンを務める行友彩月選手、もう一人が2年生エースの尾上ことは選手です。
行友選手は「三田松聖との試合では、とにかく3年生に迷惑をかけないように、自分の力を発揮することを意識しました。一方で倉吉北戦はキャプテンとしてチームを引っ張れるように、よりチーム全体のことを考えながらプレーしました」と語ります。尾上選手も「三田松聖戦は先輩にカバーしてもらえましたが、倉吉北戦は私が後輩のカバーをできるように意識しました」と振り返り、試合ごとの役割や意識は完全に違うものでした。
倉吉北戦ではフォワードの1年生コンビである銭谷菜月選手と秋田光梨選手が、自分の持ち味を生かしてアグレッシブなプレーを見せました。2年生の2人も仕事はきっちりこなします。行友選手は機動力を生かしながらのゲームメークやドライブで、尾上選手は170cmの長身を生かしたインサイドワークや、多彩なシュートテクニックで勝利に大きく貢献しました。
比治山女子は中高一貫で、中学から一緒にプレーしているメンバーが多いことが強みとなっています。新チームへと移行する期間においても、中学の時からお互いを知っていることがアドバンテージになります。
行友選手と尾上選手も中学から比治山女子で切磋琢磨し、チームメートになって5年目です。そのため性格やプレースタイルも熟知しており、強い信頼関係で結ばれています。行友選手は尾上選手について「熱いものを内に秘めているタイプ。プレー面はザ・エースという感じで、『ここで得点が欲しい』という場面でしっかり決めきってくれます」と語ります。一方の尾上選手は「行友選手は責任感があって頼りになります。3ポイントシュートの決定率が良く、良い状態の彼女にパスを出すように意識しています。オフコートではノリが良くて面白い子です」と明かしてくれました。
比治山女子は中学のバスケットボール部の強化をスタートさせたのが2020年で、その1期生が現在の高校3年生になります。昨年は1、2年生のみで広島県を制し、インターハイ出場の快挙を達成。今年もインターハイに出場し、チームは歴史を作りつつあります。
そんな新興チームの良さについて行友選手は、「チーム全体の仲が良く、コミュニケーションが活発なところです。誰かが落ち込んだり、悪いムードになってもすぐにポジティブな空気になって、良い方向へ進んでいけます」と言います。
その言葉に尾上選手はうなずきつつ、創部3年で築いた『比治山スタイル』について教えてくれました。「私たちが大事にしていることは、試合で流れが悪くなった時、コートの中でもベンチからでも、みんなが声を出してディフェンスから流れを作ることです。それはこれからもずっと続けていきたいです」
やるべきことをやってチームが結束すれば、歴史が浅くても強くなれる──。彼女たちはコートでそれを証明し続けていきます。
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