11月2日、育英(兵庫県)はウインターカップの県予選決勝で敗れました。その1週間後の11月9日、「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループE」の洛南(京都府)戦で、新チームが初陣を迎えました。
キャプテンとなった阿部りあむ選手は、気持ちを新たにしてこのゲームに臨みました。「県予選決勝に敗れて僕は泣いてしまったのですが、3年生は涙することなく『次はお前たちの番だぞ』と言ってくれました。その言葉で『やらなければいけない』という気持ちに切り替えることができました」
その洛南戦はトランジションの速さや3ポイントシュートといった新チームの良さを発揮し、新チームとしての記念すべき初勝利を挙げました。この試合で「U18日清食品ブロックリーグ2025」でのデビューを飾ったのが1年生ガードの篠田凪斗選手です。阿部選手とバックコートでコンビを組み、3ポイントシュートやドライブなど積極果敢なプレーを見せました。
本人は「あまり自分の良さは出せませんでした」と振り返りましたが、沼波望コーチは「阿部と篠田のガード陣が苦しい時間帯でどうゲームをコントロールできるかが新チームの鍵を握ります」と語り、2人に大きな期待をかけています。
洛南戦から2週間後の11月22日。練習を重ねたチームは「U18日清食品ブロックリーグ2025」の最終戦、光泉カトリック(滋賀県)との試合に臨みました。この日も阿部選手と篠田選手はスターターに名を連ねてチームを牽引します。
篠田選手は1年生らしく、溌剌としたプレーでオフェンスに勢いを与えます。ミスを恐れずにドライブで仕掛けつつ、リングが見えたら積極的にシュートを放つ姿はコート上で一際目立っていました。一方で阿部選手は篠田選手をサポートしつつ、素早いパスさばきでチーム全体をコントロール。ディフェンス面では「もっとしつこくアクティブハンドを」など篠田選手に細かく指示を出しながら奮闘します。
後半に入ると外からのシュートに加えて、ペイントエリアへのアタックを増やしたことでオフェンスがより機能します。阿部選手は切れ味鋭いドライブや、タイミング良くゴール下に飛び込んで得点を重ねます。守備面もゾーンディフェンスに切り替えたことで光泉カトリックの攻撃を抑えることに成功します。しかし、前半で36得点と出遅れたのが響き、反撃及ばず72-85で敗れました。
沼波コーチは「ゲーム勘がまだまだでミスも多かったです」と渋い表情を見せつつも、一定の手応えも得られたと言います。「ディフェンスできちんと相手に影響を与えられている時は自分たちの速いバスケができていました。オフェンスでも良い繋ぎから効率良く攻められていたシーンもありました」
その「良い繋ぎ」を演出していたのがガードの2人でした。阿部選手はこう言います。「自分の特長の一つ、ドライブを仕掛けた際に相手が寄せてきたら、(篠田)凪斗にパスを出すことを意識しています。このホットラインを磨いていくことが新チームでも大事になると思っています」
篠田選手も阿部選手との関係性は強く意識していると明かします。「自分が疲れている時はりあむさん(阿部選手)に運んでもらうなど、お互いに補い合うことを意識しています。自分がドライブしてからキックアウトしたり、逆に僕がりあむさんからパスをもらって3ポイントシュートを打ったり、2人の連携をもっと高めていきたいと思っています」
沼波コーチもその言葉にうなずき、「阿部と篠田が輝くと、シューターの永江(奏楽)など他の選手も輝くことができます」と期待しています。新チームとして11月に強豪相手に試合を経験できたことは、必ず今後への糧となるはずです。阿部選手は「U18日清食品ブロックリーグ2025」で得たものを次に繋げるべく、強い決意を語りました。「新チームは高さがありませんが、その分ディフェンスでも速く動ける選手が多いですし、ブレイクをたくさん出して、自分たちの速いバスケットボールを追求していきます」
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