11月23日に柳ヶ浦(大分県)は、光泉カトリックで報徳学園(兵庫県)との最終戦を戦いました。報徳学園もこの試合に勝つことで、優勝の可能性を残すことができます。それだけに両チームともディフェンスの強度が高く、互いにシュートを決めさせないロースコアゲームとなりました。
柳ヶ浦は、この試合までの6試合で平均89得点のオフェンス力を誇ります。207cmの高さで、インサイドを制圧する留学生のファデラ ママドゥ選手がその得点力の中心です。ママドゥ選手はさらにドリブルでエントリーをしてオフェンスの起点となる器用さも兼ね備えます。そんなママドゥ選手の多彩さが、この大一番で発揮されました。
マッチアップ相手となる報徳学園のトンプシン クリントン選手をペイントエリアから引っ張り出し、身体能力の高い久木原ケリー健志選手や儀間クリスチャン選手が空いたスペースを思い切り良く攻めたり、それによってディフェンスが収縮したと見れば、キックアウトパスからキャプテンの田場瑶大選手、森田佑月選手、2年生の天野大空郎選手が3ポイントシュートを射抜くというバランスの良いオフェンスが機能し始めました。
キャプテンの田場瑶大選手は、「U18日清食品ブロックリーグ2025」でのチームの成長をこう振り返します。「新チームになった頃は、自分たちも認めざる得ないぐらいコーチの指示待ちというチームでした。オフェンスもママドゥに頼りきりだったんです。それではいけないと思い、自分たちで話し合い、自分たちで考えてバスケができるようになりました」
この日の試合では中村誠ヘッドコーチがチームに帯同しておらず、北野琳斗アシスタントコーチが指揮を取りました。北野アシスタントコーチは、「今回は選手間でのコミュニケーションが増え、自分たちが何をしなくてはいけないのかを選手自身で判断してプレーしていました。今日のような接戦を勝ちきれたことは、本当に彼らの成長だと思います」と、選手たちの成長を称えます。
加えて中村ヘッドコーチが3年生たちに伝え続けたことを、キャプテンの田場瑶大選手が教えてくれました。「今年からU18日清食品リーグは入替戦があるから、来年のためにも3年生たちは良い戦いをして優勝しようと何度も言われました。その言葉で僕らもやるべきことが明確になり、責任を持ってこの大会に向かうことができました」
報徳学園との試合は、3年生の主体的な姿勢が前面に押し出される試合となりました。コート上の選手たちが主体的に声を出し、さらにベンチメンバーも声を掛け合う。それがディフェンスの強度を上げ、それぞれの役割を全うすることに繋がり、試合の流れを一気に変えて柳ヶ浦に優勝をもたらしました。
スタイルが確立されたチームが集まったグループGでは、白樺学園(北海道)の齊藤煌空選手、報徳学園の松本晃瑶選手などエースとして成長を遂げる選手が目立ちました。県立沖縄水産(沖縄県)のマクミラン アレックス選手、新田(愛媛県)の小坂悠陽選手のように、今後さらなる成長が見込める下級生の活躍もありました。
そんなグループGを制した柳ヶ浦の田場瑶大キャプテンは、来年3月の「U18日清食品トップリーグ2026入替戦」に向けて後輩たちにバトンを託します。
「こうして優勝して入替戦の権利を得るという目標を達成できました。後輩たちには来年だけでなく、その次の年、またその次の年とチームが成長し続けていくような良い循環を作ってほしいです。そのきっかけを自分たちが作ったという自負はあるので、あとは後輩たちに託します」
そう語る田場選手の表情には自信が溢れていました。柳ヶ浦はこの優勝をきっかけに、チームのカルチャーの確立を目指していきます。
この記事をシェアする