阪南大学(大阪府)と県立宮崎工業(宮崎県)、ここまで5戦全勝同士のチームによる「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループH」の事実上の優勝決定戦が、11月29日に行われました。
阪南大学はもともと3年生主体のチームで本大会に挑んでいましたが、開幕3連勝を記録したところで3年生が引退し、11月22日の東福岡(福岡県)戦からは新チームとなり、わずか9人での戦いとなりましたが、3年生が積み上げた連勝を止めることなく、東福岡、県立佐賀北(佐賀県)に勝ち、5勝0敗で県立宮崎工業との試合に挑みました。
県立宮崎工業との試合前、森本正コーチは「新チームとなり今までゲームにほとんど出ていない選手が挑みます。失うものはないので思いきり戦ってほしいですし、この大会での経験は普段の練習の何日分にも値するものです」と語ります。
試合が始まると、阪南大学はイベアブチ エマニュエル チジオケ選手の200cmの高さを生かしてゴール下を狙いつつ、周りの選手たちも前が空いたら果敢にリングにアタックして接戦を繰り広げます。第4クォーターを52-55で迎え、その後も県立宮崎工業に食らい付きましたが、最後は63-71で敗れ、優勝を逃しました。
森本コーチは試合後に「悔しい負け方でした」と言い、さっそく見つかった新チームが向き合うポイントを挙げました。「接戦になると受け身になってしまう時間帯があったので、そういう時こそ『自分たちでやっていく』という空気を作れるようになりたいです」
阪南大学の新チームにキャプテンはまだいません。今はリーダー制をとっていて、後にキャプテンと副キャプテンが決まります。この時、リーダーを務めていた岩城琉生選手は「この試合に向けてチームとして準備していました」と、試合に向けた準備期間を含めて振り返りました。
「僕たちはウインターカップ予選で負けて、新チームになってからはバスケの内容は変えず、意識や取り組み方を変えようと話し合ってやってきました。その中でここまで全勝できて、今日は負けてしまいましたが、前半は粘り強いディフェンスからブレイクを出す阪南大学のバスケを遂行できたので、やるべきことはやったと思います」
岩城選手は、このリーグ戦の7試合を振り返り、「新チームにとって初めての大会で、ここからどうすべきかが明確になりました」と言います。「3年生が引退してからディフェンスを見直していました。ウチは留学生がインサイドで頑張ってくれるので、僕たちアウトサイドの選手ももっと力を入れてやっていきたいです」
リーダーとしてチームと向き合い、コート上でも積極的なプレーで仲間を引っ張っていた岩城選手ですが、実は今まで試合にはほとんど出ていませんでした。岩城選手は「今までは全く試合に出られなくて、点差が30点とか40点空いたら出るような選手でした」と言い、試合でバスケができる喜びをこう語ります。
「今は試合に出ることができて、めちゃくちゃ楽しいです。今までずっとベンチで見ていた景色なので、まずは試合に出られる環境に感謝しなきゃいけないと実感しています。出られなかったのは自分自身の力不足もありますが、やっぱり試合に出て経験できることがあると感じました。今はコート上の経験を大事にしたいし、一試合一試合で成長しなければいけないと思っています」
優勝を争う一戦に敗れた悔しさを抱えつつも、それ以上に「やっぱり楽しかったです。僕もチームもこの試合に懸けていました。負けたことは悔しいですが、やるべきことはできたし、次に繋がる試合でした」と岩城選手は言います。
「このリーグ戦で試合に出ることができ、試合ごとにチームも自分自身も成長できたと思います。こういう接戦は今後も経験すると思うので、そこを勝ち切る力を身に着けていきたいです」
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