「感謝と恩返し」をテーマに今シーズンを戦う県立宮崎工業(宮崎県)は、初出場となった「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループH」のゴールを「優勝して来年の宮崎県の出場枠をもう一つ勝ち取る』に設定し、7戦全勝での優勝を勝ち取りました。
8月23日に行われた東福岡(福岡県)との開幕戦を73-55で勝利すると、その後も白星を重ね、5勝0敗同士で迎えた阪南大学(大阪府)との事実上の決勝戦に挑みました。しかし、この試合を前に体調不良者が相次ぎ、メンバーが揃わず練習もまともにできない状態でした。
阪南大学戦は立ち上がりで身長200cmのイベアブチ エマニュエル チジオケ選手の高さに苦戦しつつも、持ち味の攻撃的なディフェンスからの速いバスケで高さの不利を補い、一進一退の攻防に持ち込みます。3点リードで迎えた第4クォーター、リバウンド争いではボックスアウトを徹底し、オフェンスではチームでスペースを作っては3ポイントシュートを沈めて、最終スコア71-63で勝利しました。
翌日には米子松陰にも95-51で完勝を収め、これで全勝優勝を達成。時任祐輔ヘッドコーチは、「メンバーが揃わない中で迎えた2試合でしたが、しっかりと勝ち切ることができて良かったです」と言い、チームを引っ張り続けた3年生を称えました。「私たちは11月3日のウインターカップ予選決勝で負けてしまいましたが、3年生は後輩のために、そして宮崎県の出場枠を増やすために、最後まで戦ってくれました」
リーグ戦のラスト2試合を新チームで戦うという選択肢もありました。九州以外の強豪を相手に下級生が実戦経験を積むことにも大きな意味はあったはずですが、県立宮崎工業の3年生は最後まで戦うことを選びました。
時任コーチは「3年生とはブロックリーグのラスト2戦をどう終わらせるかを話し合いました」と明かし、こう続けました。「3年生は気持ちをすぐに『後輩のために入替戦の出場権を取る、宮崎県にもう1枠を持って帰る』と切り替えてくれました。今日が引退試合となりましたが、本当に素晴らしい3年生だったと思います」
キャプテンの岩元悠南選手は優勝の喜び以上に、仲間たちへの感謝の気持ちを噛み締めていました。「この2試合は体調不良で主力が何人かいませんでしたが、2年生がやりきってくれました。自分たち3年生が今あるのは1、2年生が試合前にリバウンドを取ってくれたり、コップに水を入れてくれたり、本当にたくさん支えてくれたおかげです。僕たち3年生はその恩返しとして来年に引き継げて良かったですし、県の代表として宮崎県にも恩返しができました。それは3年生が大切にしている『最後まであきらめずにしっかりやる』ことを全員でやりきったからだと思うので、本当に誇りに思います」
県立宮崎工業の新チームは来年3月に行われる「U18日清食品トップリーグ2026入替戦」に挑みます。岩元選手は後輩たちに、こうエールを送りました。
「この間の宮崎県新人戦では、延岡学園や県立小林を倒して優勝できました。ですが、全国レベルになると留学生の技術もアップするし、アウトサイド陣もスキルが高いので、そこにしっかりアジャストして入替戦で勝って、来年は宮工が『U18日清食品トップリーグ』で試合しているところを見たいです」
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