憧れる大先輩のようなオールラウンダーに
昭和学院 #7 石井杏奈
新潟市東総合スポーツセンターで開催された「U18日清食品トップリーグ2024」。11月10日の女子第2試合の対戦カードは、8月の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)準決勝と同カード、京都精華学園(京都府)と昭和学院(千葉県)となりました。
先行したのは昭和学院で、#4 月松蒼選手(3年/167cm)や#9 藤松柚乃選手(2年/159c)の3ポイントシュート、#7 石井杏奈選手(2年/175cm)のインサイドの合わせやドライブといった堅実なプレーで得点を積み上げていきます。対する京都精華学園は#4 林咲良選手(3年/165cm)のドライブや#18ユサフ ボランレ アイシャット選手(3年/191cm)の高さを生かしたプレーで反撃。アウトサイドの昭和学院とインサイドの京都精華学園という、インターハイと似た試合展開となります。
互いに持ち味を発揮する中でも、徐々に流れは京都精華学園に傾きます。オフェンスがうまく回らない昭和学院の隙を突き、堅いディフェンスから林選手が瞬く間にコートを駆け抜けアップテンポな展開を演出。ボランレ選手も味方のミスショットを献身的にカバーし、第2クォーターは21-10の大差を付けました(前半で41-25)。
後半、京都精華学園がさらに点差を広げ、最大20点のリードを奪い試合はワンサイドゲームになるかと思われました。しかし、ここから昭和学院の反撃が始まります。インサイドのディフェンスを締めて京都精華学園のミスを誘発すると、月松選手と藤松選手のガードコンビがトランジションから連続得点。さらには#8 山下笑伶奈選手(3年/181cm)も積極的にドライブを仕掛けるなど一気に点差を1桁に戻します。
追う昭和学院と逃げる京都精華学園──接戦の勝負どころで力を発揮したのは京都精華学園でした。林選手が3ポイントシュートや速攻のワンマンレイアップなど、重要な局面で次々にスコア。昭和学院も藤松選手の1対1や石井選手のカッティングなどで追いすがりますが、最終スコアは73-66で試合終了のブザーが鳴りました。
ただ、20点ビハインドからの昭和学院の追い上げは見事の一言に尽きます。中でもチーム最多17得点を記録した石井選手のプレーには光るものがありました。175cmとスモールフォワードとしては長身でフィジカルもある石井選手。サイズのミスマッチを生かしてインサイドで体を張ることもできれば、リングに正体してピックを使い、ドライブでリングにアタックすることもできます。
石井選手も「自分の強みは中でも外でもプレーできるところ」と自信を口にします。一方で、「ボールが止まってしまったときに強引に1対1にいってしまうことがあって、それは良くないことだと思っています。先生からももっとオフボールで動けと言われていました」と課題も。その意味では、課題のオフボールからゴール下で何本もチャンスを作り出したこの試合は、石井選手にとって収穫の大きい一戦となったはずです。
付属校の昭和学院中出身の石井選手は、鈴木親光コーチがミニバス時代から見てきた選手。「小学生の頃はガードをしていて、身長が伸びてインサイドになった選手なので、高校に入ってきた頃からボールさばきはできていました。ですが、器用なためにすぐにドリブルをして自分でどうにかしようとしてしまうところが、彼女が直面している壁だと思います。状況判断の整理ができてくればもっとプレーが変わってくると思います。中も外も両方こなせるオールラウンドな選手に育てていきたいです」と鈴木コーチ。赤穂ひまわり選手をはじめ、長身オールラウンダーを何人も育ててきた鈴木コーチにとって、石井選手は育てがいのある選手なのかもしれません。
石井選手は現在2年生。理想の選手は昭和学院のOGでもある星杏璃選手だそう。これからチーム内でより大きな役割を担うことで、鈴木コーチの目指すオールラウンダーに、そして本人が憧れる星選手のような存在に近付けるはずです。「U18日清食品トップリーグ2024」最終戦の相手は桜花学園(愛知県)。石井選手の、特にオフボールムーブに注目です。
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